第7章 薔薇の法律
思い出されるフロイドとの輝かしい過去。
一回目、挑発されて学園巻き込んでの大喧嘩。
二回目、追いかけっこに巻き込まれ、帽子を焼かれる。
三回目、喧嘩に巻き込まれ、ケーキが犠牲になる。
よう、フロイド。お前本当に度胸あるな。仏の顔も三度までって言葉知ってるか?
わざとじゃないのはわかってるけど、悪気がなけりゃ何してもいい訳じゃねーぞ。
てめーとの因縁に終止符打ってもいいんだぞ?
「あ、あの……ルーク先輩……」
「ん?なんだい?」
今まで黙っていたリドルがおずおずと口を開いた。
「今回の件、本当に申し訳ありませんでした。トレイに言ってまたケーキを作らせます」
「いや、いいよ。彼だって暇ではないからね。私のために時間をとらせる訳にはいかない」
「いえ、こうなったのは僕が無鉄砲にユニーク魔法を使ったからです。後先考えない慎重さに欠けた行動でした。フロイドのユニーク魔法を考えれば、跳ね返されるなんて簡単に想像できたのに」
え、首を刎ねろってユニーク魔法だったのか!?
聞いたことない詠唱だなとは思ったけど、そうか、ユニーク魔法だったのか。
「てかさ〜、ケーキなんて食べられれば形なんてどうだっていいじゃん!味が落ちる訳でもあるまいし」
「ヴィルに見目悪いケーキを出す訳にはいかないだろう?美しい人には美しい物を食べて貰いたいのだよ」
崩れたケーキをヴィルに出すくらいなら土下座でもしてトレイにまた作ってもらうっちゅーねん!
この無惨なケーキは、あとで私が食べる!!
ところで、リドルのユニークってどういう効果があるんだろう。
「失礼ながら、リドルくん。キミのユニーク魔法というのは?」
「僕のユニーク魔法は、相手の魔法を封じ込めることが出来ます。しかし、相手の隙を突けないと上手く発動しなかったり、相手の防衛魔法が上回っていたりする場合は弾かれたりする欠点があって……今回がそうです」
そうか、そうだったのか。
部活のとき、トレイから聞いた。
リドルが前寮長との対決をした時、一瞬で終わったと。
一瞬で終わらせるなんて相手を気絶させない限り無理だと思ったけど、彼は魔法を封じ込めることで勝利したのか。