第7章 薔薇の法律
「だぁかぁらぁ〜〜〜!!!!悪かったって言ってるじゃん!!!!」
「キミ、この間もそう言って私を巻き込んだだろう?これで二度目だよ、二度目」
トレイ宛の手紙を転移魔法で彼まで届けてから木に吊し上げたフロイドへと向き直る。
ロープでぐるぐる巻きにして吊るしたから蓑虫みたいでちょっと笑える。……けどこいつが犯した直前の行いのせいで私の怒りMAXなので笑う余裕なんてない。
ちなみにもう一人……フロイドにちょっかいかけられていたリドルはある意味被害者でもあったし、奴みたいに逃げようとしなかったのでそのままにしてある。
「つーか、なんで俺が魔法使う時に限ってウミネコくんが近くにいんの!?タイミング悪過ぎだろ!?」
「それはお互い様さ。私だって好きで巻き込まれている訳ではないからね」
前回は確か……アズールとの契約違反者を追いかけていた時に巻き込まれたんだっけ。
相手が放った炎魔法をフロイドが跳ね返した先に私がいた。
私に怪我はなかったものの、帽子が跡形もなく燃えてしまった。ついでに髪も少し焦げた。
ブチギレた私は二人を捕捉し、アズールへと引き渡したのだった。その時に彼から狩りの腕を見込まれて協力関係の契約を迫られたけど、まずはフロイドの躾から頼むと言って断った。
借金取りのヤクザみたいなことしたら、それこそヴィルの雷が落ちてまうやろ。
そして、今回。
前回と似たような、というかそのままだ。
リドルが「首を刎ねろ!」と何かの魔法を放ったところ、フロイドがユニーク魔法で跳ね返した先に私がいた。
そして前回と同じく、今度はケーキが犠牲になった。
私が手に持っていたケーキの箱に、彼が跳ね返した魔法が直撃。ケーキ入りの箱はくるくると華麗な円を描いて宙を舞い、そのまま落下。
中身は見るまでもなく無惨なケーキと化した。