第6章 人生の核
前世は勉強と習い事で忙しい毎日だったし、今世は狩りにハマってしまって家にいる方が珍しいくらい外を駆け回っていた。
仲良くなって魔法工学について少し教えてもらいたかったのに、これでは仲良くなるどころか嫌われてしまう。
引き際が肝心だな。仕方ない。オタク文化を勉強して出直そう。
「それ……ネージュ•リュバンシェ?」
──と思っていたら、なんと驚いたことに彼から話しかけてきてくれた。
どうやら私が持っていたプロマイドが気になったようだ。
「知っているのかい?」
「そりゃ有名人だし。知らない人の方が珍しいでしょ」
あ、耳が痛い。ついさっき知りましたなんて言えねぇ。
「欲しいならあげるよ」
「いらない。興味ないから」
ネージュのこと何か聞けるかなって思ったけど、この様子じゃ期待出来ないな。
でも突破口は見つけた。せっかく彼から話しかけてもらったんだ。このチャンスを生かせ!
「彼……ネージュ•リュバンシェはもう会えない昔の親友によく似ていてね。世界で一番美しい人だったんだよ」
「……そう、なんだ」
相手に合わせることが出来ないならば、相手に自分のことを知ってもらう作戦へ変更だ。
でも言い方まずったな……これじゃユキが死んだみたいだ。死んだのは私の方なのに。
前世のことを隠しながら話すって意外と難しい……。
でも意外にもイデアは聞く体勢に入っている。
彼にも何か思い当たることがあるのだろうか?表情が曇ってしまった。
いやいや、まずは誤解を解かねば。さすがに親友が死んだことにされるのは心証を損ねる。
「イデアくんっ!!」
「ひぃっ!?」
ガシッ!と肩を掴むと顔を青くさせて驚いていた。
でも今はそんなことに構っちゃいられない。
「誤解をさせる言い方ですまないね!別に彼女は死んだ訳ではないんだよ!!」
「えっ、でももう会えないって……」
「た、確かにもう会えないけれど、死んではないんだ……」
そう伝えると、さらに彼の表情が曇ってあらぬ妄想をしていることがわかる。
違う!違うからね!?彼女に会えないのは悲しいし辛いけど、別に貴方が想像してるようなことはなんっっっにもないからね!!?
どう言えば伝わるんだ!?