第6章 人生の核
「兄さん。今帰ったよ」
「おかえりオルト。ゲーム買えた………ってルルルルル、ルーク氏!?なんでここに!!???」
……初対面なのにまるでオバケにでも会ったような反応されたんだが??
「はじめましてだねムシュー!最後のソフトを私が買ってしまってオルトくんからキミに譲るようにお願いされたんだ」
「あ、そ、そ、そうなんだ……でもわざわざここに来る意味なくない……?」
「魔法工学で優秀な成績を納めるキミに興味があってね。ゲームでもしながら少し話そうかと」
「せ、拙者は別に話すことなんか……」
むむむ……こりゃ人見知りするタイプだな。しかも重度の。
警戒心を解くには相手に寄り添う必要がある。二人きりの方が都合がいいな……オルトくんには悪いけど少しの間退出しててもらおう。
「オルトくん。悪いけれどヴィルに寮へ戻るのは遅くなると伝えてくれるかな?私の部屋に新作のボドゲがあるからヴィルと遊んでておくれ」
「うん、わかったよ!兄さんのことお願いね!」
「えっ、ちょ……オルト!」
オルトは何かを察してくれたのか、イデアの制止を聞かずに出て行った。
あとはヴィルがうまく時間を稼いでくれればいいんだけど……何かと察しがいい彼だ。きっとオルトを足止めしてくれるだろう。
「……どういうつもりか知らないけど……とくに用がないなら帰ってくれる?」
オルトを追っ払ってしまったことで余計に警戒心を強くさせちゃったか。まぁ仕方ない。
チラリと彼の机を見ると作業中だったようで、B4サイズの紙が置いてあった。
覗いてみるとペン入れの途中の原稿用紙だった。
「これは漫画かい!?トレビアン!制作途中の漫画を見たのは初めてだ!漫画家志望なのかい?」
「ちょちょちょちょ!!!!!それは駄目だって!!!!!勘弁してルーク氏!!!!!」
そんな大声出せたのかキミ。獲物を追うチーターの如く素早く原稿用紙をひったくる。
あまりの必死さに思わず呆然。えっと……そんなまずい物なの?