第6章 人生の核
『いつか私がキミに会いに行く私になっても、肯定してくれる?』
『もちろん、肯定するよ』
『会いに行くから。絶対、絶対!!会いに行くから、忘れないで!ただそれだけ。ただ、それだけでいいから!』
『忘れないよ。記憶力はいいんだ』
『いつか、いつかね』
『うん、いつか』
『きっと……すごく、再会するのに良い日にさ』
『……うん、その日はきっと良い日だね』
『いつか、また会おうね。ユキ』
──と、過去の思い出に耽っていたのは、前世の記憶を持つ人にこの前会ったからだ。
前世の記憶を持ってるなんて自分だけかと思い込んでたけど、他にもいることがわかったんだ!
その人物は私の同級生。二年で同じクラスになった人。
彼が「俺には前世の記憶がある」と言った時は本当にびっくりした。私以外にもいたのか!
前世の記憶があると言った彼は「俺の本当の名前はダークフレイムマスター。闇の力を持つ怪物どもを束ねていた頭だった。人間に転生した今は闇の力を封印し、人間社会に溶け込んでいる。でもたまに闇の波動が暴走しかけて人間たちを無に還してしまいそうなんだ」と芝居がかった口調で言っていた。
残念ながら私には意味がよくわからない。でもお互いに同じ時代の同じ場所で生きていたとは限らないよね。
前世ではダークなんたらの怪物みたいだったけど、異質な気配はしない。だけど、どこか寂しそう。
彼は私と同じで前世の記憶に苦しんでるんだ。ダークなんたらの怪物としてたくさんの人々を苦しめたのなら許されないことだけど、彼は生まれ変わって過去を悔やんでる。
前世のように人を傷つけてしまわないよう、自ら他人と距離を置いているんだ。
そう察した私は「心配いらないよ!ここには優秀な魔法士がたくさんいるから何かあってもキミを助けてくれる。だから一人で抱え込むのはやめたまえ」と訴えた。
すると、彼は何故か驚いたような怒ったような恥ずかしがっているような、様々な反応を見せたあと「邪王炎殺黒龍波は一瞬にして全てを燃やし尽くしてしまうから優秀な魔法士が何人いても無駄だし、おそらく自分が死んだことにも気づけない……」って言ってきた。