第5章 喧嘩は程々に!
「陸に上がって来た人魚とはとても興味深い……どうか私の探究心を満たしておくれ。ムシュー愉快犯」
まだなんの人魚か聞いてないし、海の中の生活や人魚の生態は実に興味深い。いつかは本来の姿も見てみたい。
美しい人魚を目の前にして胸の高鳴りを我慢できるほど私も大人じゃなくてね。
「嫌なら補習にならないように頑張ればいいんですよ、フロイド」
ジェイドからも許可が下りた。もうお前の味方はいないぞ。
なに、悪いようにはしないさ。退屈もさせないし、なんなら学内で飛行術が一番上手い人魚にしてやるよ。ただしスパルタだがな。
嗚呼、こんな美しい獲物を前に高揚しない狩人なんているのだろうか。
今からとても楽しみだ。
私の恍惚とした表情を見て、フロイドは引き攣った小さな声を出した。
互いの耳に付いている飾りが警告音のように、しゃりんと鳴った。