第6章 言ノ葉【沙明】
あぁ、こんなの俺のキャラじゃねェ……
誰かに情熱的になるとか、目立つことをするとか、そんなの俺がやるようなことじゃねェのに……
アイツらがいなくなってから、大切な人がいつか俺の前から消えてしまうんじゃないかという恐怖に煽られて、広く浅くを徹底してきた。
別に、タイプだったわけでもないし、自分でもどこに惚れてしまったのかは未だ謎のままだ。
でもよ、俺が護ってやらなきゃってふと思ったときには、もう溺れるほど好きになってたんだろうな。
柄にもなく緊張的な意味でガチガチになりそうで少しばかり冷たく接しちまってるし、少なくとも好かれてはいねェと思う。
だからって、昨日見えた涙を見過ごせるほど、冷徹でもないんで。
きっとアイツはあそこにいる。
共同寝室の扉を開けて、入口から三番目の下段にある寝室カプセル。ガラス扉から中を見ると、やっぱりそこにいた。
コンコンと扉をノックして、ツバサに出てこいと目で合図を送る。
ツバサはゆっくりとカプセルの中から出てきた。
「……なに?」
「お前、今日話し合い参加してねェじゃん?どうしたのかと思って見にきたっつーワケ」
「なんで、ここがわかったの」
「なんとなく。勘で」
ウソ。絶対にここにいるって確信してた。
「……自分は会議に参加したがらないのに、他人が参加しないと注意しに来るの?」
「別に注意しに来たワケじゃねーけど。なんで来なかったんだろうなって」
「……………」
元からそこまで絡んではいなかったが、いつもよりなんだか刺々しい気がする。
「……ちょっと聞きてェことあるんだけど」
「………」
「昨日食堂から出ていく時、お前なんで泣いてた?」
「…………!?」