第6章 言ノ葉【沙明】
沈黙に包まれたメインコンソール。
すると、この船の船長であるジョナスが口を開く。
「……ああ、なんと美しい。沙明よ、君のツバサを護ろうとする強い意思に、私は感銘を受けた。だが、なぜそこまでして護ろうとする?もしや、ツバサというただ一人の少女に恋慕を抱いているのではないか?と、感じてしまうのだが」
「別に俺のアイツに対する思いとか今はいいだろ!ツバサが凍らされなけりゃ俺ァこれ以上喚きませんし?つーか、そろそろ始めねェとマジで時間なくなるけどいいのかよ?」
沙明はうやむやにして終わらせたけれど、少なからずツバサのことは大切なのだと分かった。
と、鍵が反応している。特記事項が解放されたようだ。
後で見ておこう。
話し合いの結果、今日はラキオが凍ることになり、私はなんとかコールドスリープを回避出来た。
同じループをする仲間であり、私を支えてくれる大切な人は、もう凍らされてしまった。
次のループで闘っているのか、あるいは別の船へ渡る途中なのか。
私も次のループで早く会いたい。
あぁ、いけない。そういえば、ツバサはどこにいるんだろうか……?
そういえば、部屋を出てから沙明は娯楽室に向かわずに、どこかへ行ってしまった。
ツバサを探しに行ったんだろうか。
部屋に戻り、鍵を出して特記事項を見る。
開いていたのはやはり沙明の特記事項。その内容は……
「……少しだけ、見直したかもしれないな」