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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第2章 Messiah【レムナン】


今の気持ちを話して。お願い。
ツバサさんに目で訴えかける。
「……はぁ、レムナンに隠し事はできないってことか。分かったよ、話す」
よかった、断られなくて。
「ただ、お願いだから……あんまり反応しないでもらえると、助かるな」
「分かり、ました」
恐らく、昨日の僕の態度を見てまたそうなるんじゃないかと思っているんだろう。
でも、大丈夫。きっと、彼女と僕は同じ気持ちだから。
「レムナンのこと、好きなの。友達じゃなくって……恋愛的な意味合いでね」
ああ、やっぱり。
僕の勘は間違っていなかった。
「言った時は無意識で、気づいた時にはしまったって思ったの。案の定、女の子が苦手なレムナンは激しく嫌がるような反応だったでしょ。だから、焦って友達の意味だって取り繕った。嫌われたく、なかったし」
「…………」
「レムナンの傍に、一番近い存在になれれば……レムナンの居心地のいい場所になれれば、それで良かったの。だから、レムナンが今みたいに言って欲しいって言わなければ、ずっと隠し通していくつもりだった。……結局、バレちゃったけど、ね」
ははっ…と少し疲れたような、諦めたような表情で笑うツバサさん。
違う。そんな顔をさせたいわけじゃない。
そんな……そんな辛そうな顔、しないで。
そう思った時には、もう行動を抑えることはできなかった。
「レム、ナン……?」
「そんな顔、しないでください。僕も、ツバサさんが、大好き、です」
彼女を腕の中に閉じ込めて愛を囁く。
自分がこの先一生することはないと思っていたのに。人の感情というのは不思議なもので、好感を抱いた人を、知らないうちにどんどん好きになっていく。
今回の件の僕がいい例だ。
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