• テキストサイズ

【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第2章 Messiah【レムナン】


「その、ツバサさん」
朝食を食べ終えて、今は僕の部屋で彼女と二人きり。
「どうかした?」
「急になんだろうと、思うかも、しれませんけど……」
「うん」
「僕のこと、どう思って、ますか」
「レムナンの、こと?」
首を縦に振る。彼女は少しだけ考えた後に、
「レムナンのことは、ね。私……好き、だよ」
珍しく頬を赤らめながらこちらを上目遣いで見る彼女。
可愛らしい。
普段は大人っぽい雰囲気を漂わせるツバサさんだけれど、今は可憐な少女のような仕草を見せている。
「ほ、ほんと、ですか?」
「あ、あの、そ、そういう意味じゃ、ないから……!と、友達としての意味で、好き、ってことだから……!」
「嘘です」
嘘だ。彼女は嘘をついている。
家族は僕のことを勘が鋭いとよく言っていた。
その勘がここで発動してしまったらしい。
嘘をついている部分は“好き”という部分ではない。もう少し前の“そういう意味じゃない”という部分である。
そこから、一つの可能性が出てくる。
それは、“彼女が僕と同じ気持ちなのかもしれない”ということだ。
もしそうなら、本当に嬉しいし、今すぐ気持ちを伝えたいと思った。
でも。仮に伝えたとして、さっきでてきた可能性とは違った心情だったら?伝えたことで、何かが変わってしまうような気がして、怖くなってしまった。
「……え?う、嘘って……」
「嘘、ですよね」
「れ、レムナンのことは好きだよ!それは本当!」
「そこじゃ、ないです。そのもう少し前の……そういう意味じゃないって部分、です」
「………」
「聞くのは、少し怖いです……でも、もう一度聞きます。ツバサさん。あなたは、僕のことを……どう、思ってますか?」
/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp