• テキストサイズ

【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第2章 Messiah【レムナン】


そういえば、僕はツバサさんのことをあまり知らない。
僕ばかりがツバサさんに自分のことを話している。
失礼を承知で聞いてみようか……?
「あの、ツバサさん。僕もツバサさんのこと、知りたいです」
「ん、私ばっかりレムナンのこと知ってるのは不公平だもんね。いいよ、なんでも聞いて」
お許しが貰えたので早速聞いてみることにする。
「それじゃあ、失礼ですけど、年齢はいくつ、なんですか?」
「おおう、世の女性には禁句の質問だね。私は気にしないからいいけど。私は20歳だよ」
「僕の、1個上ですね」
「お、そうなんだ。あんまり年齢差なかったね」
「そう、ですね。この船に乗る前、何をなさって、いたんですか……?」
「エンジニアだよ。色々機械をつくったり、弄ったりしてた。だから、私も実は機械好きなんだよね」
「そうなんですか……!わぁ、嬉しいな……」
憧れの人も自分と同じものが好きだと知って、とても嬉しくなる。仲良くなりたい人との共通点が見つかった。
自然と頬が緩む。
「ふふっ、レムナン笑うと可愛いね」
「え、そ、そんなこと……ありま、せん……!」
慌てて否定した。
可愛いと言われて嫌な気はしないし、むしろ嬉しい。
でも、男に生まれたからにはかっこいいと言ってほしい。
ツバサさんに言われる褒め言葉は、どんなものでも嬉しいけれど。
彼女は、本当に魔法使いのような人だ。
僕を夢中にして、巧みな話術という名の魔法で僕をいつも楽しませてくれる。
綺麗で格好いい、素敵な女の人だ。
その点でも、彼女は不思議な人である。
女性が苦手な僕が、今のところ唯一スラスラと話せる女性。
仮に、この船を降りる時が来たら。
その時は、ツバサさんと一緒のところで降りたい。
/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp