第1章 ずっと昔から【沙明】
展望ラウンジに着く。
やはりいつもの自然豊かな惑星アースラの風景が映る。
「沙明、今日も肩貸して?」
「ン、OKOK。こっち来な、プリンセス」
「ありがとう、沙明」
傍から見ると本当のカップルみたいだ。
むしろよくここまで拗れたな。
ツバサは沙明の傍に言って沙明の肩に頭を預けて、数分としないうちに寝た。
「……んで?お前はなんでコイツと一緒に来てんだよ」
沙明から嫉妬の籠った視線を向けられる。
僕は汎だし、恋愛感情を抱くことは無い。
ラキオと違って、いわゆるアレも切除済みだ。
「たまたま廊下で会ったんだ。目的地は一緒だし、一緒に来ただけ」
「……フーン?」
「それに、協力するって言ったでしょ。……沙明とツバサは、幸せにならなきゃダメだ」
これは本気で思ってる。同情だと思われてもいい。とにかく二人は運命の相手同士だと僕は確信してる。
「ヘイヘイ。こんだけ言われりゃ、俺も本気出すっきゃねぇよ。期待には答えねぇとな?」
「絶対いけるよ」
沙明は本命にはかなり臆病で、慎重だ。嫌われないように必死で、相手の地雷を踏まないようにしながら、一歩ずつ距離を縮める。沙明を観察していて分かったことだ。言っていることは自分を強く見せて、生き残れるように。全ては心の裏返し。オトメに言ったことだって、オトメを心配してのことだろう。沙明が権力者を嫌うのは、間接的にその被害に遭っているから。根はどこまでも優しくて真面目な男だ。
それが沙明。
ツバサと並ぶ姿は様になっていて、さっきツバサをプリンセスと呼んだが、さながら間違いでも無いかもしれない。
ツバサは本物のお姫様みたいに可憐で美しい。沙明と一緒で優しいし、どこまでも謙虚だ。
沙明が好きになるのも納得出来る。
もうすぐ。もうすぐで、運命の時が来る。
成功すれば、明日の夜にもう作戦は決行だ。
二人のためにも、僕が頑張らなければ。
その日はレムナンを消滅させて、共同寝室で眠った。