第1章 ずっと昔から【沙明】
「…OKOK。んじゃ、俺の昔からのエンジェルのためにも頑張ってやりますかね。……俺だってコイツに言いてぇコトあるしよ」
頑張れ、沙明。頑張れ、ツバサ。
僕は二人を見守っています。
「うん。僕も協力するから」
あ、でも沙明にはまだ聞きたいことがひとつ。
「そういえば沙明、」
「…ン?なんだよ」
「さっきツバサにキスした?」
沙明がハ!?とものすごい勢いで驚く。
そして数秒の硬直ののち、みるみるうちに顔が赤くなっていった。
「お、お前、まさか、覗いてやがったのか…!?」
「その言い方は色々と語弊がある」
「事実だろうが!」
沙明は偶にツッコミ役に回ることもある。
ジョナスやしげみちのボケとかに、大体沙明のツッコミが付き物ってぐらいには。
「ったく…趣味の悪ぃヤツめ…」
「だから言い方」
「わーったわーった。……ちなみにさっきの質問の答えはイエスだ。……俺だけの秘密にするつもりだったのによ」
「ごめん。……そういえば、ツバサこれだけ隣でうるさくされても、よく起きないね」
「コイツは……まあ昔からよく寝るやつだったし。ガキの頃俺がコイツの泊まりに行ったり、その逆の時だったりとか、あと旅行に行った時なんかはコイツは俺と一緒の布団に入ってちょっと話しゃすぐ眠った。……俺はコイツの可愛い寝顔をしばらく見てから寝てたな」
「……沙明と一緒の布団?…大丈夫なのそれ?」
「お前は俺をなんだと思ってんだよ!俺がガキの頃からこんな軽薄なキャラだと思ったら大間違いだからな!?ガキの頃の俺はそれはもう可愛くてピュアな少年だったっつーの!」
「それ自分で言うの…」
「いちいち俺の揚げ足取ってんじゃねぇよ…とにかく、コイツは俺の隣で寝ると満足するまでは起きねぇよ。俺の知る限りじゃな」
やっぱり沙明はツバサのことよく知ってるんだな。
僕が特記事項全部埋めたとしても、沙明のツバサに対する知識量には敵わないかも。