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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第1章 ずっと昔から【沙明】


「沙明とツバサの特記事項を解放してるんだね。……私も沙明とツバサにはなかなか近づけなくてね…」
「ツバサに近づけないのは彼女の近くにいつも沙明が引っ付いてるからじゃないかな…」
「……バレた?」
そりゃバレる。
セツは自分を女扱いしてくる沙明のことが苦手だし、ツバサのところに行くとなればそれこそ守護天使のようにツバサを守るとでも言わんばかりに沙明がセットになっている。
セツにとっては近づきたくても近づけないだろう。
「二人の過去を聞くんだろう?なら、空間転移が始まる前に行かないと。私は他の人と一緒に談笑でもしてるから、早く行っておいで」
「うん。ありがとう、セツ」
セツと別れて、沙明のところへ急ぐ。
空間転移まではまだまだ時間がありそうだ。
展望ラウンジにやはり沙明はいた。
ツバサも一緒に。またツバサは眠ったまま。
沙明は彼女の肩を抱いている。優しく、愛する人を護るような手で。
すると、沙明がツバサの頬に手を添えて、顔を近付けた。
え、まさか、沙明……!?
気づいた時にはツバサと沙明の影が重なり、少しの間を置いて名残惜しそうに離れていった。
「沙明……?」
「──美乳アサシン!?……っだよライトじゃん。こっそり近づいてくんなって」
お決まりの沙明のセリフ。てかそもそも美乳アサシンって何。
反物質ポテトもなかなか気になるけど。
「昨日、ツバサから話を聞いたよ」
「……んで?なんか収穫あったのかよ」
「やっぱり、君のことは覚えてた」
沙明が驚いた顔をする。
ずっと忘れられていたと思っていたんだ。僕だってそうなったら驚きたくもなる。
「……でも、なんで俺のこと覚えてんだったら忘れたフリなんかしてんだよ?」
「それは……秘密」
これ以上のことは沙明でも教えられない。
直接二人で話した方が効果的だろう。
「でも、僕らが全員生き残ってこの船を制圧したら、ツバサが沙明に話したいことがあるって」
ツバサから言うのには中々勇気がいるだろう。
こういうところで手助けをするのが僕の役目だ。
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