第1章 ずっと昔から【沙明】
次の日。
ククルシカを噛もうと思ったけど、失敗してしまった。
どうやらまだ守護天使が残っているらしい。
今回はバグもいないので、一気に二人消えるということはない。
正直バグは一番いると厄介だ。
二人同時に消えでもしない限り、バグが消えたかどうかなんてほとんど分かりやしない。
仮に今回バグがいて最後まで残っていれば、僕達グノーシアは全員生き残っていようがなんだろうが、この宇宙とともに崩壊してしまう。
そうなれば、二人は呪縛から解き放たれないまま、抵抗することも出来ず本当に別れることになってしまう。
それだけは許されない。
今日も気を引き締めて、生き残れるように頑張ろう。
ククルシカはまだ一人もグノーシアを報告していない。
セツはしげみちがグノーシアだったと報告した。
しげみちはかわいげがそこまで高くないし、吊りやすい。
しげみちを疑って、沙明が同意を求めた。
よし、このまましげみちを吊ろう。
「セツの結果を信じてみるなら、しげみちを凍らせるのもありだと思うな。今回はしげみちを凍らせよう」
ツバサが皆にしげみちに投票しろと指示を出す。
うん、今日も誰も死なずにすむ。
途中で誰も意見が出なくなったので、予定よりも早めの投票になった。
順当にしげみちに票が集まって、案の定コールドスリープが決定した。
「くぅーっ!悔しい!オレのこと信じて貰えなかったのが悔しいなーっ!」
と言って、しげみちはステラに連れられてコールドスリープ室へ去っていった。
これで今日の会議も終わり。
それぞれ解散して、僕は少し食堂で休憩してから沙明の元へ向かおうとすると、セツに引き止められた。
「あれ、セツ?どうかしたの?」
「いや、ここのところ、ライトはやけに沙明のところへ行っているなと思って、なにか理由があるんじゃないかと」
ああ、そのことか。
……ライトには言わないで欲しいと釘を刺されているし、少しだけ濁して言うことにした。