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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第1章 ずっと昔から【沙明】


「……どうして、そう思うの」
「さっきの話を聞くと、ツバサは沙明に嫌われたくないように思えた。沙明が他の女の子に声をかけていて胸が張り裂けそうだったのも、沙明が好きだから。違う?」
「……違わない。そうだよ。私は、ミンくんが好き」
二人はやっぱり運命の相手同士なんだよ。
そうじゃなかったら、相手のことをこんなに想ったりしない。沙明はツバサに言ってしまった心無い言葉をその時から今までずっと悔やんでいる。
ツバサも、沙明が自分のことを昔嫌って、今は覚えていないと勘違いしているけど、それでも沙明の幸せを願っている。
互いのことを常に考えて行動している。
それなら。
「ツバサ、僕たちが勝ったら、沙明にそのことを言おう。……彼だって、覚えてるはずなんだ」
「……根拠はないの?」
「ただの勘だよ。でも、僕は確信してる。沙明だって、君のことを嫌っていたとしても、心のどこかでは君のことを求めているはずなんだ。……その時がきたら、僕もついて行ってあげるから。……どうかな?」
「……分かった。ミンくんに、言う。勝ったら。……もし失敗したら、私、生きていけないと思うけど……その時はどうやって死ぬか考える」
「うん、絶対成功させよう」
よし、これでツバサの方もOKだ。
沙明に報告するのは、明日でいいや。
このループが始まった時は、自分だけでも何とかして生き残らないとって思ったけど、今は違う。
僕は、自分の身を犠牲にしてでも、二人の子供の頃の呪縛から解き放ってあげたい。
絶対に、生き残るし、生き残らせる。
グノーシア全員、誰も凍らせはしない。
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