• テキストサイズ

日章旗のディライト(R18)

第1章 ベルトルト&ジャン(進撃/執着と嫉妬)



俺の見解を聞きたがる姿は特別珍しい事ではなかったが、人前で、特に背後の二人の気配が間近にある中で密着して話の続きを促す行動は初めてかもしれない。前述した通り、ジャンはコミュニケーションという面に限っては然り気無く潔癖である筈なのに、今日は一体どういう風の吹き回しだろう。
お前たち顔が近いよ、と釘を刺してきたのは正面に座るマルコだ。あの温厚なマルコが眉宇に深々と皺を刻むほどと思うとなかなかに俺達は異常な距離感らしい。
彼がコレなら……と、肩越しを一瞥してしまうと、人を射殺せるほどの鋭い視線を寄越したライナーと目が合ってしまった。今日は厄日だろうか、苦手なヤツらと視線を交わしてばかりだ。恐ろしさに動揺を窮め、慌ててジャンに向き直り、声を潜めて会話に戻る。また頬が擽ったい。
「ん……ライナーの性分というのは、責任感の表れでもあるんだろうけど、そもそも頼まれれば断れない押しの弱さに由来してると思うんだ。だからきっと、多少の無理は良い顔して引き受けてしまうと思う。その内に何が善で何が悪か……判らなくなって身動き取れなくなるんじゃないかな」
「ベルトルトは?」
「……アイツさ、よく自分には意思がないって言うだろう? でも本当にそれが本心なら、ヤツが頻繁に口にする故郷って場所に留まるのが普通だと思う。現地で復興に力を入れる事も出来るのに、意志薄弱なヤツが命を懸けて戦う道をわざわざ選んでくるとは考えにくい」
「まあ、そうか」
「だから、誰かに生き方を強いられて此処に居る可能性が高いんだ。望まない生き方をしているが故に、意思がないと言ってる……ってね。 今の状態見てる限りだと俺達が作るコネ如きじゃ揺るがないよ。アイツを縛り付けてるモノを上回る信頼を勝ち取らない限りは、ね」
「……実際にそうだったとしたらアイツ、かなりブッ飛んでんな」

/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp