第17章 休日と音柱
【実弥side】
「本当か?ノブの方が、無理やり、ねぇ。あんな顔して、大胆な事をするな。顔に似合わず、派手でいいなあ。俺好みだ。それで?」
「はァ?何がァ?」
「何が、じゃねえよ。ノブの触り方は良かったのか?」
そう言われ、その時の事を思い出し、下半身に熱が集まるのが分かる。
触られただけでなく、口でされたなんて言えば、またどれだけ追及されるか。
「…お前に答える必要はない」
「上手かったんだな。どこで覚えたんだ、あいつ?今度その辺りを聞いてみるか」
そんな俺の考えを見抜いたかのように言う宇髄は、相変わらニヤニヤしながら思案している。
その顔を見て、ノブが宇髄と絡む姿が頭を掠める。訳のわからない怒りがこみ上げ、その怒りのままに怒鳴った。
「やめろォ!宇髄、お前はもうノブに近づくなァ」
「ほう。不死川の口からそんな言葉が聞けるなんてな。それだけでもたいしたもんだ」
俺の怒鳴り声にも全く意に介さず、相変わらずニヤニヤとしながら俺の事を眺めてやがる。絶対楽しんでいる顔だ。
これ以上何を言っても、結局好き勝手に思われるだけだ。
「煩い。この話をまだ続けるなら、終わりだ。さっさと帰れェ」
「分かったよ。ノブの事はもう話さない。機嫌直せよ。あと少し残ってるんだ。これまで呑んでしまおうぜ」
「…あぁ」
鬼殺隊の話をしていれば、持ってきていた酒はそれから程なくすると飲み終わった。夜も更けた。いつもなら起きている時間だが、酒が入ったこともあり、珍しく睡魔が襲ってくる。
「俺はもう寝るぞォ。宇髄はどうする?泊まるなら、いつもの所に布団は入ってる。勝手に使え」
「いつもすまないな。いつも通り少し休んだら、勝手に帰るさ」
「お前から気を使われると気持ち悪い。いつも通り勝手にしとけェ」
「おう。今日も楽しかったぜ」
「俺もだァ」
そう言い部屋を出る。さらりとした風にのり、藤の花の香の匂いがする。
部屋に戻り布団に横になると、ノブの規則的な呼吸が聞こえてくる。目を閉じるとすぐに微睡みに引きずられていった。