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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第4章 お館さま


障子からもれる光と鳥の鳴き声で目が覚める。
何時だろうと枕元のアラーム代わりの携帯を手探りで探す。見つからず、どこに置いたかと起きてみて、現実に引き戻される。
実弥さんの屋敷の客間だ。いつもの自分の家ではなく、布団も違う。横にいるはずの子ども達もいない。
もしかしたら一晩寝たらもとに戻れるんじゃないかと、淡い期待を抱いていた。
そうそう都合よくはならないようだ。

少し寂しさを覚え、涙が込み上げてくる。
泣いてはダメだ。まだ泣く訳にはいかない。
この先どうすればいいのか、生きていける保証はない。
まだ悲しみにくれている暇はないのだ。

この世界で生きて行かなければならないなら、どうにか生きていく術を身につけなければいけない。
このまま実弥さんにお世話になり続けるわけにもいかない。

彼は鬼殺隊の柱だ。
日々の仕事は膨大だ。
私のことに構う時間はない。いや、私のために時間を使ってほしくない。
昨日のたった数時間で、私は実弥さんを、何度振り回してしまったのだろう。
ゆっくりと安らげる自宅に、こんな得体のしれない人間がいたら、気持ちが休まらないだろう。

鬼狩りに支障が出るなんてことは、もってのほかだ。
とりあえず、出て行こう。
後のことは後で考えよう。夜の鬼に気をつけていれば、とりあえずは大丈夫だろう。

考えがまとまったところで、服に着替え部屋を出る。
太陽はだいぶ上の方にいるから、お昼近くかもしれない。

玄関の方へ進むにつれ、いい匂いがしてきた。
玄関の横には台所があり、実弥さんが立っていた。

「実弥さん、おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました。ありがとうございます」

「おはよう。まぁ朝の挨拶にしちゃ、遅いけどな。本当に昨日は散々だったぞォ。」

言われてしまった。

「飯、簡単なものだけど作ったが、食べるかァ」

「食べます!いいんですか?夕飯食べてなかったから、お腹ペコペコなんです。嬉しい!」

ご飯とお味噌汁ができていた。

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