第1章 現世
毎日、毎日、色々なことに追われていた。
仕事に家事、そして育児。
自分のことにかける時間なんて、もう何年ないのだろう。
たまにできる息抜きは、テレビをボーッと見たり、携帯でニュースを見たり。
そんな私が久しぶりにはまったものがある。
鬼滅の刃だ!
最初はこどもたちが「学校で流行ってるんだ」と教えてくれた。でもこどもたちの言ってることは全くちんぷんかんぷん。
主人公が鬼と戦う…。桃太郎か?
妹も鬼だけど、一緒に戦う…。何言ってるんだ??
いくら聞いても分からないので、とりあえずこどもたちが借りてきていた本をちょっと読んでみた。
見てしまったのが、最後。
おもしろいなんてものじゃない。
こどもを差し置いて、はまってしまった。
多いんだってね、私みたいなパターン。
こどもをきっかけに、そのお母さん達がはまるって。
それだけ魅力的な話だった。
結局、こどもを口実に、全巻揃えてしまい、アニメも映画も制覇した。
そんな私が好きになったのが、不死川実弥さん。
さん付けするけど、私の方がかなり年上だ。
ってか、実弥さんがこどもでもおかしくない年齢だ。
そんな相手にキュンキュンしてしまう私って…いやいや、アイドルや若手俳優にキャーキャー言ってるおばちゃんたちと一緒(笑)
その相手が、私は本の中のキャラクターなだけ。
誰にも言わずにひっそり楽しんでるだけだけど、夫には気づかれていて、馬鹿だなって思っている筈だ。
だけど、仕方ない。
みつりちゃんなのよ、気持ちだけは。キュンキュンするんだもん!
もちろん顔も体型も年齢も、全て違うけど、トキメキだけは一緒なのッ(笑)
って考えてる時点でヤバイ。
でも、仕事や家事、育児に追われていた私にとって、鬼滅の刃や実弥さんのことを考えるわずかな時間が、とても充実した毎日に変えてくれていた。