第13章 宇髄天元
次の任務は二人別々だった。は前回の杏寿郎が肩透かしを食らった十二鬼月の任務の続きで、前回よりも正確な位置と鬼の情報がつかめたということだった。
そして、今回の指揮も例の音柱 宇髄天元が執るらしい。
は任務地に着くと本陣へ挨拶に行った。いつも任務に就くときには必ず自分が稀血であることを上官に報告に行く。鬼達が稀血につられて予想外の行動を取ることが多いからだ。
本陣には甲の隊士が2名と宇髄がいた。宇髄は体が大きく、派手な額当ての人だと聞いていたので、すぐにわかった。は目の前に行き跪き、流れるように喋る。
「失礼致します。階級戊、と申します。恐れながら今回の任務に当たり、お耳に入れておいた方が良いと判断したご報告と提案があってまいりました。」
「そうか、。俺は音柱の宇髄天元様だ。顔を上げて報告と提案を聞かせてくれ。」
「恐れ入ります。報告というのは、私は稀血です。ですので、鬼はすぐに私を狙ってくると思われます。」
はスッと顔を上げて、宇髄の顔を見た。宇髄は色が白く、切れ長の赤紫の瞳で端正な顔立ちの男だった。目が合うと少し驚いたような顔をされた。
「へぇ。お前なかなか派手できれいな顔をしているな。で、提案っていうのは?」
「はい。鬼の目撃情報が多い南西から私が囮として入らせて頂きたい。鬼は女の血肉を好むとの情報もありましたので、必ず出現し、襲い掛かってくると予想します。」
「鬼の攻撃を躱しながら、狙えるようでしたら首を。難しそうでしたら、この先の開けた場所に誘い出しますので、そこで加勢をお願い致します。」
「面白いじゃん。血気術はどうするよ?」
宇髄は顎に手を当てて、にっと笑いながら問う。