第2章 転機
7日目の朝
長かった最終選別の夜が明けた。
麓に集まってくる最終選別で生き残った者達。
杏寿郎の視線は自然と数日前に見た琥珀色の髪を探していた。
いた___
ケガをした者の手当てをしてる彼女。ふと見ると彼女自身の着物にも夥しい量の血が付いていた。
「ッ!!」
心臓が跳ね、杏寿郎は咄嗟に駆け寄る。
「!」
振り返った彼女の瞳には今にも溢れてしまいそうな程の涙が溜まっていた。
「どうした?どこか怪我でもしているのか?」
ドッドッドッドッ と心臓がどんどん速くなるのを感じながら答えを待つ。
「この人 私のせいで怪我を・・・血が止まらない・・」
訊きたかった答えではないが、杏寿郎はの目からとうとう涙がこぼれてしまったのを横目に、一緒に怪我の様子を見る。
「もっとここ強く縛れば大丈夫だ!心配はいらない。すぐ良くなる。」
血が止まったのを確認し、ほっとした顔のの涙を、持っていた手ぬぐいで拭いてやりながらもう一度訪ねる。
「、君に怪我はないか?着物にかなりの量の血が付いている。」
は一瞬きょとんとした顔をして、すぐに少し悲しい顔になった。
「私は大した怪我もなく大丈夫。これは私のせいで怪我をしてしまった人の血。私は稀血だから私が鬼をおびき寄せてしまって、近くの人を巻き添えにしてしまう。」
「そうか・・でも、に怪我がなくて安心した。」
「心配してくれてありがとう。杏寿郎に怪我は無い?」
「俺も幸い大した怪我は無い。」
「良かった。」
ふわりとの顔が綻んだ。
(あぁ、やっとまた笑った。)