第46章 年明け頃
「前世でも、自分の子どもの話になるといつも少し不安そうな顔をしたから。特に男の子の天悠の方に関しては。・・今だから言うけど、宇髄の血を増やすのが不安だったんでしょ?」
「・・・・俺、そこまで話した?」
「ううん。…よく、夜にうなされてて、余りにも辛そうだから雛鶴さんに聞いちゃったの。ごめんね。あなたは1人で辛い事いっぱい背負ってたんだよね。あなたの優しさはそれを乗り越えてできたものだった。」
「あなたは、人にはすっごく優しいくせに、自分の事は責めてばかりいるみたいで時々見ていて辛かった。…私がしてもらった様にあなたが辛い時に傍に居たかったけど、先に死ぬって分かってたから、子どもは絶対欲しいなと思ったよ。あなたに何か大切な物を残さないとって。・・まさかの双子で大変だったけど。」
「お陰でずっと賑やかだっだぜ。」
「天元。産まれてくるあなたの子も前世と同じで優しい子になる。優しいあなたがパパなんだもん。」
「・・・そーかねぇ。」
「お、どうした?珍しく天元様が弱気になってるぞ。…今生ではご家族は?」
「・・・それが、もう何年もあってねぇ。・・・やっぱ気が合わねえんだわ。」
「天元は他の人より長く生きた分、前世の名残が強いのかなぁ?家族の苦労は改善されなかったんだね。」
「・・・それより、さっきなんか俺の事が好きって言ってた?」
「言ってた。勿論好きだったよ。結婚してたんだもん。今でも一人の人間として凄く好き。大切な人だよ。良き理解者。嫌いになる必要もないし。あなたは?」
「まぁな。好きだし大切だな。…確かに良き理解者だ。…に素直に好きと言われると照れるな。」
「天元、なんか弱ってるから。」
「ほら…キスは?」
「…本気でする気無いくせに。」
「…そういえば、私、実は前世で、桜寿郎は杏寿郎の男気があって快活な性格と、あなたの色っぽくてマメな性格が合わさるととんでもない子になるんじゃないかって唯一心配だったんだけど…。」
天元の顔が曇る。
「…あー。、すまん。」
「俺の知ってる限りでは桜寿郎はそうなってた。男にも女にもえげつない位モテてた。煉獄に似て節操はあったから刺されそうではなかったけど…。」
「…天元…なんてことを…。ちょっともう桜寿郎を抱っこしないで。」
「やだ。ダメ。桜寿郎。色男の父上が来たぞ~。」