第44章 ※三十個
「・・・さぁ、。顔をこちらに向けてくれ。」
杏寿郎がの顔を見て笑う。もこの言葉を思い出してにこにこと笑うが、目には涙があふれていた。
「俺は今から君を抱く。」杏寿郎は続ける。
前世で初めて2人が肌を重ねたときの自分の言葉をなぞる。
「君も同意してくれるなら?」も覚えていて言う。
「お互い覚悟を決めよう!」2人で揃って言い、お互いの涙を拭きながら、くすくす笑って抱きしめ合う。
は杏寿郎の耳元で、「処女だから優しくしてね。」と囁くが、杏寿郎は、
「・・・愛する人だからな。勿論大切に、優しくするさ。が、回数は多いかもしれん。暗いうちに眠ることは諦めてくれ。」とニヤッと笑いながら言い、
「さぁ、、覚悟を決めろ。」との頬を掴みがぶりと口を塞ぐ。
2人の夜は始まったばかり。
2日後の日曜日の昼。30個あった筈のゴムは後数個になっており、2人は顔を見合わせて、足りてよかったと笑い、お互いの体力に感心した。
程なく、2人は結婚式を挙げた。
出席した人は皆、笑いながら泣いて、もう一度2人の門出を祝ってくれた。
そして、2人は3人の子宝に恵まれた。2人はやはり杏寿郎そっくりの男の子だったが、もう1人は何と瑠火に似た可愛い女の子だった。
杏寿郎は優しく、時に厳しく、真っ直ぐで、面白い、良い父親になった。
2人で協力しながら、子どもたちと剣道したり、勉強を教えたり、遊んだり・・・楽しい家庭を築く。
そして、歳をとるごとに色気を増してくる杏寿郎にはドキドキし、杏寿郎は年々笑顔がかわいらしくなってくるを微笑ましく見る。
2人は仲良く年を重ねていく。いつまでも目を見合わせて笑い合って。
残酷な運命により繋いだ手が離れたこともあった。
けれど、また運命により巡り逢いその手が繋がれた。
その手が離れていた時間も決して無駄ではなく・・
お互いを形成しているものの大切な一部となっている。
そして、再び繋がれたその手はもう離されることはない。
いつも、いつでもあなたの心の傍に。
🔥 気炎万丈 完 🔥