第44章 ※三十個
2人がまた恋人になってから一か月ほどが経った。
この頃には朝、早起きをして待ち合わせ、一緒にランニングをするのが日課になっていた。
ねー、杏寿郎。と信号待ちの時にが杏寿郎に話しかける。どうした?と杏寿郎が汗を拭きながら返事をする。
「うーんとね。あのね・・・。」
少し顔を赤くして言うのをためらっている。
「珍しく歯切れが悪いな。どうした?」
「・・えーっとね。明日の金曜日から日曜日の夕方まで兄が出張でいないんだって。・・・どうする?」
どうする?とは?と杏寿郎は少し考えて意味が分かり、はっとの顔を見た。は赤い顔をして俯く。
2人はしばらく、どうするか?ともじもじしながら、お互いを直視できずに赤くなっていた。
杏寿郎は赤くなりすぎたのが恥ずかしくなり、口元を手の甲で覆いながら、決心して言う。
「と・・・泊まりに行っても・・・いいか?」
「・・ん。いいよ。・・いつから来る?」
正面で顔を見ながら話すのが気恥ずかしくて、隣に並んでお互いちらちらと顔を見ながら話す。信号はもう3回変わった。