第42章 けじめ
職員室に戻った3人は「あいつら本当に変わってねぇ。」と呆れた。
体育館からまだ竹刀の音がする。
「7時に体育館の電気が自動で消えるのを、煉獄は覚えていると思うか?」
冨岡が言うのを、2人は「絶対覚えてねぇ」と言い。面白いのでベランダから様子を見ることにした。
案の定、7時数分前にも声が聞こえ、7時に体育館の全ての電気が消えると2人は慌てて、スマホのライトを当てながら荷物を持って外へ出て来た。階段に座り、防具を外しながら2人は目を合わせて「ばかだな。」「ばかだね。」とケラケラと声を上げて笑う。
ベランダにいる3人も笑いをこらえながら様子を見守る。いつの間にか伊黒もいた。
笑い終わると、杏寿郎は荷物からパーカーを出し、の肩にかけ、隣に腰を下ろす。
「ありがと。」
は杏寿郎に笑いかける。杏寿郎はそんなを見て懐かしいなぁと思いながら話しかける。
「・・さて・・。君は記憶が戻ったんだろう?」
「はい。先週の飲み会の後すぐに。」
2人ともお互いの目をじっと見て話を続ける。
「どうして戻っていない振りをしていた?」
「・・・・杏寿郎の話から、まだ私を想ってくれてると分かったから。」
「迷惑だったか?」
「ううん。違う。とってもありがたくて、、嬉しかった。」
「・・・・でも、私はあなたにまた大切にしてもらう資格が無いと思って。」
「宇髄と結婚したからか?」
「・・そう。」
は言いにくそうに少し間を置き、困った顔になった。
「・・・それに、私、杏寿郎が死んじゃって、あなたがいない毎日に耐えられなくて、私も死のうと思った。実際に不用意に体を出して毒で死にかけた。大切な桜寿郎を千に託して。・・・私あなたみたいに強い心が持てなかった。私はあなたに相応しくない。」