• テキストサイズ

気炎万丈【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】【R18】

第38章 葛藤


大切な事があるはず・・。何だろう?何だろう?
思い出したいけど、思い出してはいけないような・・。
自分の家に着いた頃には顔色が真っ青になり、気分が悪くなっていた。
兄に心配されながら自室に戻ったが、次から次へと、とめどなく映像が浮かんでくる。美しい楽しげな映像ばかりじゃなく、残酷な映像も混じってくる。背中にざわざわと鳥肌が立ってくる。
頭の中で、思い出しては駄目だと声が聞こえる。
とうとう気分が悪くなり、トイレで吐いてしまう。

口を漱ぎながら、ふと鏡に映った自分を見た。詰襟に羽織、腰には刀を差した私。両隣に煉獄先生と宇髄先生。そして、煉獄先生そっくりの男の子。宇髄先生そっくりの女の子。私に似ている男の子が見える。・・・・どの子の名前も分かる。

そして・・最後に棺の中で花に囲まれて眠る・・・煉獄・・杏寿郎。

・・・鬼殺隊 ・・・炎柱  煉獄杏寿郎・・・!!

杏寿郎・・・杏寿郎・・・。強く、優しく、熱く、清廉で気高い・・大好きな・・杏寿郎!!

涙がずっと止まらない・・・。
あぁ思い出した。

そうだ。人が自分たちの命の尊厳の為に鬼と戦っていた時代に、私は彼らと同じ時間にいたのだ。己の体を刃のように研ぎ澄まして、心を燃やして。

そして、会いたくて堪らなかった、心から愛した人がいたのだ。と。・・何で忘れてたんだろう。出会ってから死ぬまで彼のことを考えない日は1日も無かったというのに。

思い出すと全てが繋がった。どうして物心ついたころから寝る間も惜しむように剣道に打ち込んだのか。
自分の体と剣技を磨かないと死ぬ時代を生きていたのだ。

紅いルビーの指輪は杏寿郎が私にくれた大切なものだった。竹刀袋には絶対にアヤメの刺繍を入れたいと思ったのは、杏寿郎が私に作ってくれた羽織の模様だったから。

杏寿郎と天元、他の皆はもうすでにこの記憶があるのだろう。そういえば、初対面の時から眼差しが温かかった。

杏寿郎や天元が私を見て泣いたのは、深く関係があったからだ。子どもを設けるくらいに。

杏寿郎は、私に似た人を想い人だと言った。
私を待ってくれている?杏寿郎は確かにそういう性格だった。

でも、私は?
/ 261ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp