第32章 本当の気持ち
次の日、槇寿郎と千寿郎に挨拶に行った。
2人とも寂しくなるが、杏寿郎がいない今、を煉獄家へ縛っておくわけにもいかないので、快く送り出してくれた。
槇寿郎がと二人で話がしたいというので、天元はの荷物を運ぶ用意をし、千寿郎に桜寿郎の世話の仕方について聞くことにした。
槇寿郎は、にまずこれまで酒に溺れてしまい、嫌な思いをさせてしまったことを詫び、杏寿郎や千寿郎を支えてくれたこと、桜寿郎を生んでくれたことへの感謝を述べた。
そして、これからの苛烈を極める戦いで、ぜひ生きて帰って欲しいということを言われた。
の方もこれまでの感謝を伝え、酒に溺れた義父を自分も杏寿郎も恨んではいない。
杏寿郎は自分の最愛の母を、父も心から愛した結果であると理解していたことや、自身も杏寿郎がいなくなって、槇寿郎と同じように生きる希望を失ってしまっていた事を話した。
桜寿郎はできることならば籍だけは煉獄のままに残しておいてほしいこと、千寿郎にも時々子育てを手伝って貰いたいこと、桜寿郎がもう少し大きくなったら、槇寿郎に剣を教えてもらいたいことなどの希望を伝えた。
そして、自分は槇寿郎を父として尊敬しているので、義理ではあるが、娘として時々顔を見せたいと伝えると少しだけ嬉しそうにしていた。
最後に槇寿郎から、杏寿郎が列車に乗る前に、自分に万が一のことがあれば、おそらく宇髄がを連れに来るから、快く送り出してほしい、が迷っていたら、宇髄の所へ行けと背中を押すように言われている。
宇髄の方からも、きちんと「を愛しているので、家を訪問することを許してほしい」と挨拶に来た。桜寿郎は杏寿郎の大切な息子として大事に育てていくことと、ももちろん大切にすることを約束してくれたと教えてもらった。
は皆の気持ちが嬉しく、途中からは泣きながら聞いていた。
帰る途中もめそめそと泣いているの頭を天元はいつものようにふわふわと撫でてくれた。