第30章 お見舞い
天元は私に何を言わせたいんだろうと考えながら、は答える。
「いいや違うね。最後まで希望を持って生きるつもりで戦うのと、死にたいと思って戦うのは大きく違う。そんな死に場所探す様な戦い方するなら、今後の任務には行かせねぇ。」
「天元には関係ない。」
は、どこまでお節介なんだろうと、久しぶりに腹が立って来た。
「いいやあるね。俺はお館様と胡蝶からお前の戦い方を見極めろって言われてる。煉獄が死んでからお前の様子がおかしいって。お前が柱候補っていうのもある。」
「これから戦いがどんどん厳しくなるのに、死にてぇ奴が戦うのと、1つ1つの判断が、生きてぇ奴の判断と違ってくる。で、結局全員の命を危険に晒す。ただでさえお前は稀血なんだから、先に死ぬだけでかなり迷惑をかける。」
「・・否定はしません。言われていることも分かります。が、生きたいとも思えないのです。」
「煉獄が・・、自分のせいでお前が死のうとしてるのを望んでると思うのかよ?」
ずっと考えないようにしていた一番意味のない質問にイラっとした。
「・・杏寿郎は、もう、どこにもいない!」
「杏寿郎は確かに私に死んでほしいなんて思わないのは分かる。でも、杏寿郎が死んでから、もうずっと、色も味も楽しいも悲しいも嬉しいも悔しいも何もない。辛いしか感じない。それってもう死んでるのと何が違う?」
「・・もう、何をどう頑張っても杏寿郎には会えないんだよ?・・私は早く杏寿郎に会いたいの。」
は、天元を見ながらポロポロと涙を流す。
「おぉ、やっと泣けたじゃねぇか。」
天元はの傍へ行き、泣いて震えている肩を抱き寄せる。必死に腕を払おうとしたが、の力ではどうにもならなかった。
「何が辛いんだよ?聞いてやるよ。我慢すんなよ。大丈夫。俺が傍にいるから。ちゃんと向き合え。」
「お前は泣き虫なんだから、きちんと泣け。」
「・・杏寿郎に会いたい。」
「・・一緒にいたい。」
「・・悲しい。」
「・・もっと好きって言えばよかった。」
「・・桜寿郎を見せたい。」
「・・杏寿郎。杏寿郎・・。」
は何刻も泣き続けた、体を震わせ、子供のようにずっと押さえつけていた感情が堰を切ったようにあふれていた。
途中、桜寿郎が泣きだしたので、天元は嫁を呼んで連れ出してもらった。