第29章 上弦の陸
「・・・・。・・・・。・・・。はっっ!!」
は、体が熱くなる感覚があり、目を開けた。目の前には禰豆子と怒った顔の天元、それを支えるお嫁さんたちがいた。
「・・あれ?」
死ねなかったか、と思ったが口には出さなかった。
「あれ?じゃねぇよ。・・・、ケガは?」
毒によって重く動きにくかった体はすっきりしている。衝撃を受けた背中は痛いが動けないほどではない。
「大丈夫。動ける。」
がばっと跳び起きて見せた。
近くにいた隠の人たちが驚いた顔をしていたが、すぐに見なかったふりをして向こうに行った。
「・・・天元。天元の怪我は?」
怒った顔でこちらを見ている天元に話しかけた。何で怒っているのかは何となく分かっていた。
「毒がなきゃこんな怪我大したこたーねぇ」
「・・。お前今日はこれからどうするんだ?」
「蝶屋敷で怪我を診てもらって帰ります。」
「そうか・・・・じゃあ、その後でも明日でもいいが、俺の家へ俺の見舞いに来い。」
「・・・分かりました。」
(見舞いと言われたら行かないといけない。これは今日の事を責められるな・・)
(杏寿郎・・・まだそっちに行ってはいけないの?)