第29章 上弦の陸
天元を見送ってから1週間ほどたった夜、の所へ天元のネズミが手紙を持って来た。
差出人は雛鶴。遊郭の敵は上弦の陸であったこと、戦況がよくないことが火急の要件として書かれていた。
(きっと天元は私が行くのを嫌がるだろうけど、ただ家で待っているだけはもう嫌。)
は急いで桜寿郎を千に預け、隊服を着て吉原へ向かった。
近づくにつれ、強い邪気が立ち込めている。
建物がかなり壊されており、建物の中にけがをしている人や亡くなっている人もいた。
さらに足を速めて邪気の下へ向かう。
___いた!
炭治郎達若い三人の隊士はもうボロボロになっていた。
鬼は2体、鎌を持った鬼が強い。
・・・天元がいない。
「炭治郎!」
上弦の陸が、血の斬撃を炭治郎に出したので、間に入って攻撃を弾く。
「さん、血には毒があります。あっちの鬼と2体同時に首を切らないと・・。」
「わかった。」
は次の瞬間、炭治郎の羽織をつかんで遠くへ飛ばした。
「もっと息を吸って、呼吸を整えて!」
上弦と攻防を繰り広げながら、目の端で天元の行方を捜す。
(天元・・!)
天元は左腕を切られ倒れている。動いていない。
(死んでしまった?)
(では、・・・これが・・・杏寿郎の所へ行く絶好の機会だ。)
(この上弦を道連れに、死んでもいいんだ)
は嬉しくて鳥肌が立った。