第20章 意識不明
「・・・ねぇ。もしかして・・口づけしたのも気付いた?」
「・・・さぁ?どんな口づけだったんだ?やってみてくれ。」
「うーん・・こう・・かな?ちゅっ」
は恥ずかしそうに杏寿郎の頬に軽く口を付けた。
「よくわからないな。もう一回だ。」
「えー・・じゃあ・・・」がもう一度頬に口づけをしようとした瞬間、杏寿郎がの方へくるりと顔を向け、「ちゅっ」と唇と唇を重ねた。
「杏寿郎!顔、動くの!?」
「動かせないなんて言ってないだろう?」
「・・・ちなみに、からの口づけは顔中全てだと記憶している。」
は、杏寿郎の言葉を聞きながら、みるみる耳まで真っ赤になり、きゃーと叫んで顔を隠した。
「やっといつものに戻って来たな。・・・6日間も俺の反応が無くて不安だっただろう。もう大丈夫だ。このまま少し眠ると良い。俺も眠る。」
杏寿郎は優しい声と顔でを見て言う。も大好きな声と笑顔が戻ってきたことに安心した。
2人ともそのまま少し眠った。
その後、順調に回復し、5日程で退院となった。
杏寿郎が退院した後、は肌を重ねた後飲んでいた薬を飲むのを辞めた。
大好きな人の子種をたくさんもらっているのに、薬で殺してしまうのが憚られた。
漠然と続くと思っていた日常に、次の保証なんてものはどこにもないと気付いてしまったから。