第18章 悲しい出来事と自分の想い
葬式も終わり、エマは墓の前で一人座り込む。
ジムは親代わり、といっても、
特に親らしいことをしてもらった記憶はない。
ただ一緒に働き、一緒に笑い、一緒に怒り、
たまにケンカをする。
そんな暮らしを繰り返していただけだ。
だがその繰り返しが、自分にとって
かけがえのないものだったのだと、
今更になって気付く。
「エマ。」
後ろから声をかけたのはリヴァイだった。
「リヴァイさん。
今日はわざわざありがとうございます。」
エマは立ち上がり、深くお辞儀をする。
「エルヴィンさんにもまだちゃんと
ご挨拶してないんですけど、」
「エルヴィンは緊急会議に
参加しなきゃなんねぇから、先に帰った。」
リヴァイは口早に答えた。
「……私、育ての親が亡くなったっていうのに、
全然泣けないんですよ。ほんと薄情ですよね。」
リヴァイはそう言って
悲しそうに笑うエマを見て
「ここには俺しかいない。
泣きたいなら泣け。」
と、エマを抱き寄せた。
「お前は俺がいないと泣けねぇんだろ。」
リヴァイはそれだけ言うと、目を瞑る。
「……リヴァイさん、温かいですね。」
エマはそう言うと堰を切ったように泣き出し、
リヴァイは何も言わず、
ただ、エマを優しく抱きしめた。