第16章 会いたい人
「お前、そんなこと聞くために
わざわざここにきたのか。」
「そういう訳でもないんですけど……」
エマはリヴァイに突然会いたくなった、
なんてことは言えず口ごもる。
「……ここは考え事をするには
都合のいい場所だからな。」
リヴァイはそう言うと上着を脱ぎ、
「お前、これ以上欠勤することが
あったら許さねぇからな。」
と、エマの肩に上着をかけた。
「いや、リヴァイさん、これ、」
まだリヴァイの温もりが残る上着を
急にかけられて、戸惑うエマ。
「うるせぇな。黙って着とけ。
……今日の飯は散々だった。
明日は旨い物を食わせろ。」
そう言うと、リヴァイはエマから視線を外した。
そんなリヴァイをみて笑いながら
「リヴァイさん。これ、似合いますか?」
と、エマは調査兵団のマークが付いた
リヴァイの上着を、羽織って見せる。
「そんなもん、お前に似合わなくていい。」
リヴァイはエマの頭を軽く小突き、
エマが羽織ったばかりの
上着のボタンを留めながら、
「今日はお前が先に帰れ。」
と、背中を押した。