第15章 激しい動悸の原因
「エルヴィンさん。おはようございます。」
エマはエルヴィンと目を合わせるが
何処か気まずい気分になり、
すぐに目線を逸らす。
「風邪をひいたと聞いてね。
いてもたってもいられなくなって
来てしまったよ。」
そう言うエルヴィンの声は
心底心配している声色で、
それなのに目も合わせずにいる自分が
情けなくなる。
「……ありがとございます。
でもそんなに酷い風邪ではないので
大丈夫ですよ。」
エマはエルヴィンに笑いかけた。
エルヴィンは安心したように息を吐くと、
「昨日、私が突然あんな行動に
出てしまったから。
そのこともあって体調を崩したのかと思って、
少し責任を感じていたんだよ。」
そう言って、優しい瞳でエマを見る。
「……少し、部屋で話せないかな。」
エマは一瞬迷うが、
エルヴィンを部屋へ招き入れた。
「……あの、風邪移しちゃうといけないし、
少し離れてましょうか……?」
エマが座っているベッドの、
目の前ある椅子に座るエルヴィンを見て
エマは申し訳なさそうに言う。
「………私を警戒しているのかな?」
エルヴィンは少し笑いながら言った。
「いや!決してそういう訳ではないです!
警戒だなんて、してませんから!」
エマは必死に否定するが、
返って逆効果なような気がして
それ以上発言するのをやめた。