第130章 月とオリオン
少しの沈黙の後、
「俺が先に話してもいいか?」
リヴァイはそう言ってエマを見た。
エマは少し考えを巡らせるが、
「いや。私が先に話したいです。」
と、リヴァイの提案を却下する。
「……おい、俺が先に話す。」
リヴァイは眉間に皺を寄せて
エマに視線を送った。
「そんな怖い顔で見てもダメですよ。
ここは平等にトランプで勝った方が
先に話せることにしますか?」
エマはそう言って
ポケットからトランプを取り出す。
リヴァイは思わず吹き出し、
「それはお前の本職だろうが。
俺に不利な条件を出してくるんじゃねぇよ。」
と、肩を震わして笑う。
「失礼な。
今の本職は料理人です。」
エマは笑うリヴァイを
嬉しそうに見ながら、
トランプをポケットにしまった。