第126章 雑務の手伝い
「エルヴィンさん、
食べたくなったら口開けてください。」
エマがそう声を掛けると、
エルヴィンは書類に目を向けたまま口を開ける。
『エルヴィンさん、口開けただけなのに
なかなかいやらしい顔になるな……』
エマは思わずそんなことを思いながら
南瓜のサラダをスプーンですくい、
エルヴィンの口に入れた。
エルヴィンは書類に目を向けたまま
口に含むと、ゆっくり咀嚼する。
部屋は静まり返っているので、
エルヴィンの咀嚼の音と、
紙とペンが擦れる音だけが部屋に響いた。
『変な気分になりそう……』
エルヴィンの口元を見ながら、
ついそんなことを考えてしまい
その気持ちを振り払うように
一瞬目を閉じると、
咀嚼を終え、再び開いたエルヴィンの口に
コーンポタージュをすくったスプーンを入れる。
だが、少しスプーンがずれて、
口の横にポタージュが付いてしまった。