第12章 エレンの告口
夜も更けたころ。
「エマさん、手伝うよ!」
食堂の厨房で皿洗いをするエマに、
エレンが声をかけた。
「エレン。訓練終わったの?」
エマは袖をまくり始めるエレンに視線を向ける。
「うん。さっきね。」
「さっきって……
まさかこんな時間までやってたの?」
エマは食堂の時計を見上げた。
「そうなんだよ。
リヴァイ兵長、今日は何だか荒れてて。」
「そうなの?
でもそれなら疲れてるでしょ。
今日は大丈夫だからゆっくり休みなよ。」
エマは心配そうにエレンを見るが、
「いや、大丈夫。
ちょっとエマさんに話したいこともあったし。」
エレンはそう言うと、
慣れた手つきでスポンジに洗剤を含ませた。
「エマさん、リヴァイ兵長とケンカでもした?」
「え?なんでまた?」
エマは気の抜けた声を出す。
「だって今日のリヴァイ兵長、
すげーイライラしてんだもん。おかしいよ。
まぁいっつも厳しいけどさ、今日のは別格!」
「うーん、それと私と、どう関係があるの?」
「え?だってエマさん、
リヴァイ兵長の恋人なんだろ?」
エマはエレンの言葉を聞き、
思わず皿を落とす。
エレンはその皿をすかさずキャッチすると
「ちょっと、エマさん危ないって。」
そう言って笑った。
「……エレン、今なんて?」
「ん?」
「私とリヴァイさんが恋人だって言ったの?」
「そうだけど。」