第10章 エルヴィンの想い
「きっとそうなるだろうと思って、
本棚の下に行っておいてよかったよ。」
落ちてきたエマを、
ギリギリのところで支えたエルヴィンは笑う。
「……いや、本当に……
また助けてもらってありがとうございます。
自分の不注意が壮絶に酷すぎて、
もはや笑うしかないです……」
エマはエルヴィンに支えられながら
両手で顔を隠した。
「私がエマの気を動転させてしまうような
発言をしたことにも原因があるだろうしね。
………だけど、」
そう言いながら、
エルヴィンはエマを抱き寄せた。
「これは私に助けられたお礼ってことに
してもらってもいいかな?」
耳元で聞こえるエルヴィンの声は優しい。
「……はい。」
エマはやっとそう言うと、
素直にエルヴィンの胸に顔を埋めた。