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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第9章 ジャンの葛藤



「リヴァイさん……いつからそこに……?」

何でまた……と言いそうになるのを堪えながら、
エマは尋ねた。


「そうだな……
ジャンがマルコの墓参りに行った件からだな。」

リヴァイは腕を組みながら答える。


「最初からかよ!」

ジャンは思わず勢い良くツッコミを入れた直後、
しまった……と思い、口を手で押さえた。



「……盗み聞きですか?
リヴァイさん、そんな趣味ありましたっけ?」

エマは嫌味も込めて言ったのだが、

「訓練場のど真ん中で、
そんな話をする方に非はないのか?」

と、リヴァイは呆れたように答えた。



「……ごもっともです。」

エマは言い返す言葉もなく、納得する。




ジャンはリヴァイに何度も頭を下げながら
走って基地に戻って行き、
リヴァイとエマは、並んで歩き始める。



「……それにしても、最初から聞いていたんなら
声を掛けてくれても良かったのに。」

エマはため息を吐きながら
リヴァイに話しかける。


「お前がジャンの話に、
どう答えるか聞いてみたくてな。」

リヴァイの声は心なしか楽しそうだ。


「……リヴァイさんに聞かれても
恥ずかしくないような答えなんて、
私には思いつきませんよ。」

エマはリヴァイの顔を盗み見る。



「いや。お前らしい答えだった。
期待通り……いや、期待以上だったな。」


リヴァイの予想外の返答に、
エマは目を丸くした。



「お前が話を聞いたことで、
ジャンは少しくらい前向きに
なったんじゃねぇのか?」

リヴァイはそう言ってエマの頭を
ポンッとたたくと、
基地の建物に入っていった。




『……褒められた、んだよね?』
エマはリヴァイの後姿を見送りながら、
小さくガッツポーズをした。



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