第108章 特別で、願いが叶う夜
「自分の誕生日くらい覚えててくださいよ。
これ、誕生日プレゼントです。
良かったら使って下さい。」
エマはそう言うと、
リヴァイの手に包装された物を握らせる。
「……何だ?」
「開けたらわかります。」
エマがそう言うと、
リヴァイは静かに包装を開け、中身を見た。
「リヴァイさん、寒くなってから
常にポケットに手入れて歩いてるから。
この時期は特に寒いので、手袋にしました。」
リヴァイは何も言わず、手袋を見つめる。
「……あの、好みの色じゃなかったですか?」
エマは沈黙するリヴァイの顔を覗き込んだ。
「……いや。」
「それ、感激してる表情なんですか?」
エマは少し笑いながら
リヴァイの顔を見る。
「そうだな。」
リヴァイはそう言って、
エマの頭を優しく撫でた。
「ありがとう。使わせてもらう。」
そう言ったリヴァイの表情があまりに温順で、
エマは思わずリヴァイの顔を見入る。
「何だ……そんなに俺を凝視するな。」
「す、すみません。」
エマはスッとリヴァイから目を逸らした。