第108章 特別で、願いが叶う夜
「リヴァイさん。
星座には一つ一つ、
神話があるの、知ってます?」
エマは突然話し出す。
「神話?
聞いたことはあるが、詳しくは知らねぇな。」
「オリオン座の神話は、
簡単に要約すると、身内に邪魔されて
叶わなかった愛の物語です。」
エマはそう言って
リヴァイを横目で見ると、
「……身内に邪魔されて、か。
そんな望まれねぇような話が
神話になるんだな。」
リヴァイは小さくため息を吐いた。
「神話って、
結構惨たらしいものが多いですからね。
この神話も、結局女の人が
自分の好きな男の人を
誤って殺しちゃいますから。」
「おい、
いきなり残酷な話になったが。」
リヴァイは眉間に皺を寄せ、
エマの方を向く。
「最後は少しだけ報われるんですけどね。
ちなみに、殺された男の人が、
このオリオン座です。」
「……あまり好ましい星座じゃねぇな。」
リヴァイの正直な感想に、エマは少し笑った。