第108章 特別で、願いが叶う夜
「俺が記念日に詳しそうに見えるのか?」
「いえ。見えないです。」
エマは即答すると、
「でも、今日はかなり
特別な日なんですよ。ほら。」
そう言って空を指さした。
空には一面星が広がり、
その隙間から、不規則に星が流れる。
その様子は暗闇の中から漏れ出した光が
降ってくるようにも見えた。
「今日はオリオン座流星群が
見られる日なんです。」
エマは空を見上げながら言う。
「……なかなかすげぇじゃねぇか。」
リヴァイは珍しく感嘆の声を上げた。
「知っててここに
来たのかと思ってましたけど、
そうではなかったんですね。」
「生憎俺には星を眺めるような
趣味がねぇからな。」
リヴァイはそう言いながら、
ベンチの背もたれに深くもたれ掛かった。