第108章 特別で、願いが叶う夜
それから数日後の夜、
エマは久しぶりに、あのテラスに行く。
老朽化が進んでいる梯子を上り、
ベンチの前まで行くと
風呂上りらしいリヴァイが、
ベンチに座っていた。
「あ。リヴァイさん!
ここにいたんですか?」
「なんだ。お前がここに来るのは
随分久しぶりじゃねぇか。」
リヴァイは振り向くと、
そう言ってエマを見る。
「はい。でも今日は、
まさにここに来るべき日ですから。」
「あ?何でだ?」
「と言うか、リヴァイさん、
班のみんなが探してましたけど。
行かなくていいんですか?」
エマはリヴァイの問いかけに
答えることもなく、訊ねる。
「こんな時間に用がある方が
おかしいだろ。明日聞くからいい。
それよりお前は何でここに来たんだ?」
リヴァイはもう一度エマに問いかけた。
「リヴァイさん……
その様子じゃ、今日が何の日なのか
全く分かってないみたいですね……」
エマは呆れた表情でリヴァイを見る。