第106章 ●“団長”
「エマ。大丈夫か?」
エルヴィンは肩で息をするエマを抱き、
椅子に座らせる。
「エルヴィンさん……、
相変わらず、すごい、ですね。」
エマは息を弾ませながら、
やっとそう言った。
「ありがとう。
褒め言葉として受け取っておくよ。」
エルヴィンはそう言って
エマの肩に上着を掛ける。
「だが、君の声がそうさせるんだよ。
どこからあんないやらしい声が出るんだ?」
エルヴィンはそう言いながら、
エマの顎を引き上げた。
「……分からないですけど、自然に出ます。」
冷静にそう言うエマに、
エルヴィンは少し笑うが
「この声を、
リヴァイも聞いていたのかと思うと、
妬かずにはいられないな。」
そう言ってエマをそっと抱きしめた。
「……でも、今は
エルヴィンさんだけのものですから。」
「エマ。
そんなことを言われると、
また抱きたくなってくるんだが。」
「え、さすがに無理です。」
エマはそう言いながら、
素早くエルヴィンの上着を羽織った。