第1章 出会いと変化
昼定食を人数分運んでいると、
「例のすごいスープを作ったのは、
このお嬢さんですか?」
リヴァイ兵長の隣に座っている
長身の男の人が、そう言って私の顔を見た。
「あぁ。俺に常連客になれと言った強者だ。」
「いや、そんな強気で言ってないですよ!」
私は思わず否定する。
「リヴァイ兵長が基地の外に
ご飯を食べに連れて行ってくれるなんて
今までなかったことだから、
私たちもすごく楽しみにしているのよ!」
兵団の紅一点の彼女は、
私に優しく微笑みかける。
こんな綺麗で優しそうな人も、
調査兵団なんて意外だな……
そんなことを思いながら
「ありがとうございます。
ご期待に副えたらいいんですが……」
そう言いながら、料理を配膳した。
「これは本当に美味いですね!」
「兵長が惚れ込んだだけある……」
「毎日こんな料理が
食べられたらいいのになぁ……」
私にはもったいなさすぎる言葉を
かけてもらって、
少し恥ずかしくなる。
「ありがとうございます。
またいつでも来てくださいね。」
そんなことを言いながら、
チラッとリヴァイ兵長の方を見ると、
真剣な表情でスープを飲んでいた。
そんなにこのスープが興味深いのか?
不覚にも少し可愛いと思ってしまう。
人類最強の男相手に
そんなことを思うのは失礼だと思いつつも、
つい笑顔になる。
「また来ますねー!」
笑顔で帰っていく
リヴァイ班の皆さんを見送りながら
自分の中に充足感が満ちていくのを感じる。
「……また来る。ごちそうさま」
兵長の表情は変わらないが、
初めて来た時より、優しくなっている気がする。
というより、そうであって欲しい。
この人のいろんな表情を見てみたい……
そんなことをそっと思った。