第1章 出会いと変化
「では、また来るよ。」
定価よりも
かなり多い金額を支払ってくれた団長は
静かに微笑んだ。
「はい、お待ちしております。」
と、頭を下げた私に、
リヴァイ兵長が小さな声で
「ごちそうさま。」
と言ったのが聞こえて、
心の中でガッツポーズをした。
調査兵団のお偉いさん方と
そんなやりとりをした私の噂は
駐屯兵の常連さんのおかげで、
すぐに町中に広まり、
そこから一般の客も増えた。
店はいつもより少し賑わい、
ジムも満更でもない様子だった。
そして私は、本当に兵長が
また来てくれるか不安でもあったが
その不安は数日後には
解消されることになる。
「いらっしゃいませ。
……あ、本当にまた来てくれたんですね!」
店に入ってきた兵長を見て、
自然と笑顔になる。
「ああ。常連客になんねぇと、
レシピを教えて貰えねぇからな。」
兵長は前と同じで無表情だけど、
どこか柔らかい表情にも見えた。
そして兵長の後ろから
「ここが兵長おすすめのお店ですか!」
「なかなか味のあるお店ですねぇ……」
そんなことを言いながら入ってきた
4人の胸元にも、自由の翼が描かれていた。
「俺の班の仲間だ。」
と、適当な紹介をされた後、
前座った奥の席に5人で座った。
仲間、か。どこか聞きなれない、
でも少し羨ましいような
胸の奥がこそばゆくなるような響き。
兵長を囲む仲間たちは少し見ただけでも、
兵長を慕っている様子が
手に取るように分かる。