第102章 団長の恋人として
「エマ、辛かっただろう。
すまなかった。」
「仕方ないですよ。
私のタイミングが悪かったのもありますし。
それに、あれくらいで自棄になる
私に問題がありますから。」
エマはエルヴィンの肩を摩る。
「そんな風になってしまうほど、
君を追いこんでしまって悪かった。」
「……いえ。団長の恋人として、
私はもっと慣れる必要があるんだと思います。」
「君にそんな気を遣わせてしまっていることが、
申し訳ないよ……」
エルヴィンの声があまりに悲しそうで、
エマはエルヴィンを強く抱き返す。
「そんなに謝らないで下さい。
私はもう大丈夫ですから。」
エマは小さく笑うと、
「それより、
せっかく二人きりなんですから、
もっと今を楽しみましょうよ。」
そう言ってエルヴィンの顔を覗き込んだ。
「私なんかより、
君の方が随分大人だな。」
エルヴィンは困ったように笑う。
「大人はそんな簡単に
自棄起こさないでしょうけどね。」
エマはそう言って、呆れた表情で笑った。