第102章 団長の恋人として
「……何人かと抱き合いはしましたが。」
「リヴァイは?」
エマの話を聞いてか聞かずか、
エルヴィンは問いかける。
「それ、どういう質問ですか?
リヴァイさんに
何かされたのかって意味ですか?」
エマは少し小声で問い返した。
「その言い方は、
何かされたってことだな。」
「……調査3日前は
いいんじゃなかったですっけ?」
エマは思わず反論する。
「……確かに、私がエマを
問い詰めてもいい立場ではないな。」
エルヴィンは深くため息を吐いた。
「多分、エルヴィンさんの
考えてるようなことは、なかったですよ。」
エマはエルヴィンの背中を
摩りながら言う。
「どちらかというと、
私がリヴァイさんに助けられてたので。」
エマのその言葉を聞くなり、
エルヴィンはエマを少し身体から離し、
「助けられた、と言うのは、
どういうことなんだ。」
と、真剣な表情でエマを見た。
「言葉の通りです。
でもこれ話すと、エルヴィンさんが
悲しい気持ちになりそうなんで、
あまり話したくないんですけど。」
「私の気持ちなんてどうでもいいんだ。
君が、どうしてリヴァイの助けを
必要としたかを知りたい。」
エルヴィンの目は、
一心にエマを見つめている。
……どうしていつも、この人は
自分が辛くなるような事実すらも、
聞きたがるんだろうか……
私だったら、聞くのが怖い。
それ以前に、昨日のことなんて
問いかけもしなかっただろう。
エマはそんなことを考えつつ、
「……分かりました。」
そう言うと、食堂の椅子に座った。