第9章 ジャンの葛藤
すると、基地の付近にある
兵員の訓練場で、ジャンの姿を見つけた。
『お。ジャンだ。
こっそり近づいて驚かしてやろう。』
エマはバレないように、
慎重にジャンの後ろに回り込む。
「……わっ!!!」
大きな声と共に、ジャンの肩を叩いた。
だが、ジャンの反応はない。
「え、ジャン………だよね?」
エマはゆっくりジャンの正面に
回り込んだ。
「……エマ、さん?何してんすか?」
そう言ったジャンの目は、
心なしか腫れていた。
「……何かあった?」
「……なんもないから。」
ジャンは目を擦りながら、
エマの問いかけを冷たくあしらう。
「……何もないのに、そのテンション?」
「………」
「……迷惑じゃなきゃ、話聞かせてよ?」
「…………」
初めて見る、
何も言わない悲しそうなジャンの顔に、
エマはこれ以上
何を言っていいのか分からず黙り込む。